キナバリス(辰砂、硫化水銀)・・・鋳造用砂に最適な原料
現在鋳物砂は主に天然の珪砂が使用されます。豊富に存在して安価な点は高く評価できますが、しかし熱に対する安定性が低く、高温では化学的にも不安定、そして破砕時に出る粉塵が作業員の健康に影響を出すなど、多くの欠点が有ります。
鋳造品への品質要求が日増しに高まり、環境ダメージおよび現場の清潔性に対する規定が厳格化する中で、珪砂利用がもたらす弊害はすでに業界の共通認識となっています。珪砂の代用品模索はもっとも重要な課題のひとつとなっていますが、現在すでに広く使われ始めているのが、ジルコニウム、かんらん石、クロム鉱石などです。
ジルコニウムは鋳物砂に適した特性を多く持っていますが、しかし希少で価格が高いためインベストメント鋳造にのみ用いられています。かんらん石とクロム鉱石はジルコニウムより安価で入手が可能ですが破砕に制限が有ります。破砕形状が悪く、また珪砂に比べると高価であるため、やはり一部の鋳造にのみ使用されている状況です。
コストパフォーマンスの高い鋳物砂が求められています。
「キナバリス」は正に理想的な鋳物砂です。1980年代にアメリカにおいて「Ceramacore」という名称で商品化されました。90年代初めにはアメリカと日本の鋳造業界においてジルコニウムの代用品として導入されています。弊社で生産するキナバリスは粒径が0.053mmから3.36mmの間で調整が可能であり、数十社にもおよぶ中国国内の著名なディーゼルエンジン生産企業で利用していただいております。日本、韓国、イギリス、台湾などにも輸出を行っていますが、価格はジルコニウムやクロム鉱石の30-50%程度です。
<キナバリスの特徴>
・膨張係数が小さくジルコニウムと同等の性能を持つ。
・球体の形状で流動性に優れ集合性を持つ他、通気性にも優れる。
・表面が滑らかで緻密な構造であるため、粘結剤が均一に掛かる。
・中性であるため粘結剤が酸性でもアルカリ性でも対応する。
・再利用が可能でコストパフォーマンスが高い。
クロム鉱砂、ジルコニウムなどと比べて非常に安価。球形の砂粒であるため表面積が小さく、
樹脂の添加量を30-50%抑え、水ガラスの添加量を4%以下にできる。また粘結剤が起こす鋳物の欠損が少ない。
・高い耐熱性と破砕性
・熱伝導率が高く亀裂を生じない。
・応用範囲が広い。
水ガラス砂、樹脂砂、精密鋳造および銅やアルミのつや出し処理に利用できる。
<キナバリスの主要特性>
形状:球形
色 :黒褐色
耐熱温度:1900℃以下
堆積比重:1.95-2.05g/c㎡
密度:2.9g/c㎡
熱伝導率:(1200℃)5.27W/(M・K)
膨張係数:(20-1000℃)6×10-6℃
粒度:6-320メッシュ(φ0.053-3.36mm)
Al2O3:75-85%
SiO2:15%以下
TiO2:1.5%以下
Ph値:7-8